オナモミ

オナモミは夏から秋にかけて黄緑色の花を咲かせ、その後、結ばれるのが、あのトゲトゲの実。野山に出掛け、帰宅してみたら、服にくっついていた、そんな経験をされた人もいらっしゃるのではないでしょうか。"ひっつき(くっつき)虫瓩箸盡討个譴襯ナモミの実は、表面がかぎ状のトゲで覆われているため、何かにひっかかったり、動物のからだにくっついたり。
そうして、違う場所へ運ばれることで、生育地を広げていきました。この実は生薬名を蒼耳子(そうじし)といい、頭痛や発熱などの症状に処方されるほか、搾って得られる油が皮膚病にも用いられます。日本にはアジア大陸より稲作とともに渡来した歴史の古い植物ですが、今、新たな外来種におされ、姿を消しつつあるそうで…。
新秋の風が心地よいこの季節、里山を歩いてみれば、無数のトゲに覆われたひっつき虫に出合えるかもしれません。

 

 

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ベンケイソウ(平成29年8月号)

花びらの先端がほんのりと紅色のベンケイソウ。小さな花が無数に集まって咲く姿は可憐で慎ましやかですが、強そうな名前通りベンケイソウには夏の暑さ、冬の厳しい寒さにも負けない力が備わっています。

古くに中国から伝えられ、初めは「生きる草」という言葉が転じた「伊岐久佐(いきくさ)」と呼ばれていたといいます。後に、平安時代末に登場する武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)の武勇伝が伝わると、その強さになぞらえて、ベンケイソウと名付けられました。肉厚な葉は生薬名を景天(けいてん)といい、腫れ物や創傷に処方され、止血の効果も。葉はちぎった後にも、しばらくしおれず、表向きにして土の上に置いておくと、葉脈の末端から新しい芽が出るほどのたくましさ。

源義経の傍で命を燃やした弁慶のように、力強く生きるベンケイソウ。淡桃色の花は夏の暑さにうなだれることなく、今、花盛りです。