ナンテン(平成29年12月号)

南天は中国原産の植物で、秋から冬に かけて赤色の丸い実をつけます。赤い 実には厄除けの効果があると信じられていたことに加えて、 ナンテンの名が「難を転じる」に通じるので、古くから縁起 の良い木とされてきました。また、家が栄える、お金持ちに なれる、悪い夢を見た時にはすぐに南天の木を見れば正夢に はならないなどの意味もあって、庭木としてとても好まれま した。風水では母屋よりも高くなる木を庭に植えるのは凶と されているため狷颪鯏召犬襪翰益がある瓩箸いζ酖靴魑 門や玄関先に植えることで、邪気の進入を拒み、病魔や厄を 追い払ってくれると云われています。昭和時代やそれ以前に 建てられた家屋では、お手洗いの外側に植わっているのを見 かけます。それは、不浄のものとされていたお手洗いを清め るためという言い伝えに加えて、南天には寄生虫や細菌等の 生育を抑える成分が含まれているからです。冷蔵庫や防腐剤 もなかった時代、生ものやお供えをしてからいただく ものなどに添えられた南天の葉。その名残りは、 会席料理、仕出し弁当、お赤飯などに今も 見られます。

 

 

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ヒシ(平成29年11月号)

ヒシは池や沼に育つ水草です。水底に沈んだ種子から水面へと茎が伸び、その先にたくさんの菱形の葉が集まり水面を覆います。その姿は水面を彩る打ち上げ花火のようです。白く小さな花が咲くのは夏。花がしぼみ、水にもぐったあとに結ばれるのがヒシの実です。名前の由来には諸説あるようで、実の形が忍者の武器である撒菱(まきびし)に似ているからとか、葉がひし形だからとか。福岡や佐賀、北海道では実をそのまま、または、茹でたり蒸したりして食べる地域がありますがヒシの実を食べる習慣は一般的ではありません。しかし、食用としての歴史は古く、万葉集にヒシを摘む様子が詠われ、江戸時代の本草(薬物)書にはくすりとなることも書かれています。ヒシの実は生薬名を菱実(リョウジツ)と言い、民間で滋養強壮、鎮痛、健胃などを目的とした使用が受け継がれています。大きなたらいの船に乗り込み、ヒシの実を摘む。ちゃぷちゃぷ、ぎぃぎぃ。そんな音が、青く澄んだ秋空に響き渡ります。