カタバミ(平成28年5月号)

長い茎の先に、ハート型の葉が3枚。その葉は陰ったり夜になったりすると閉じてしまいます。まるで、傘をたたむように。片側が食べられたように見える葉、それがカタバミ(片喰)の名の由来。5月、葉の脇から長い茎を伸ばし、先端に小さな花を咲かせます。その可憐な黄色の花は一日花でも、花の後にはたくさんの種子を実らせます。 小さな一輪のどこにそんな力を宿しているのかと感心するほどです。全草にシュウ酸を含み、生薬の名は「酢漿草(サクショウソウ)」。生葉の搾り汁が、ダニなどの寄生性の皮膚病、虫刺されによる痒みを緩和します。 また、鏡が真鍮や鉄だった時代には、シュウ酸に銅の錆(さび)を取る作用を活かし、すり潰した葉で鏡を磨いていたといいます。カタバミの葉で鏡を磨くと、想い人の姿が鏡に現れる―。そんな迷信が信じられていたといいます。種が熟せば鞘(さや)がパチンと裂け、小さな種子がはじけ飛ぶ。 広く散らばり、瞬く間に茎を伸ばし、深く根付いて。春、夏、そして秋を迎えるまで花咲くカタバミ。たとえそれが小さく、健気な輝きだとしても。