シラン(平成28年5月号)

生薬名:百きゅう  薬用部:鱗茎   用途 : 止血・排膿・やけど
山に咲く白や薄紅、黄など、さまざまな種類のランの花。すっくと立った茎に赤紫の花が6〜7輪。花の重みで茎は傾ぎ、恥ずかしげに顔を伏せているかのようにも見えるシランは、野生のランの中でも育てやすい種類で、今では庭園などで多く栽培されるようになりました。 土の中にある扁平な球形の鱗茎は、美しい花を咲かせるための栄養庫であり、「百きゅう/びゃっきゅう」と呼ばれる生薬。皮膚や粘膜の保護、止血などに古くから使われ、江戸時代の医書には「鼻血を止めるには百きゅうの粉を唾液で湿らせて塗る」や「あかぎれは百?の粉を水で練って塞ぐ」などと紹介されています。 美しさ故に山から人里へと招かれた花。毎年ひとつずつ、数珠をつなぐように増える鱗茎。その 数はシランが生きてきた時の長さで あり、痛みを癒すくすりのもと。 大地の中に眠る力であるからこそ、 人はその花に惹かれ、美しいと感じ るのかもしれません。