オトギリソウ(平成28年7月号)

夏から秋、黄色い5弁花を咲かせるオトギリソウ。茎を抱くように対生する両葉は、細長い楕円の形。 裏面から透かすと黒い小さい点が散在し、黒い点や線は花びらや萼片にもあり、まるで血が乾いた跡のよう。オトギリソウの名は、この血しぶきに見える黒点が関係しているのだと―。鷹の傷の治療にこの草を用いることは兄弟だけの秘密だったのに。
他人に漏らした弟を兄が怒りのあまり斬り殺し、弟の恋人も後を追ったという。庭で栽培していた秘薬の草に、弟の血が飛び散ったことから「弟切草」と呼ばれることに。このように悲しい逸話を持つ花ですが、鷹の傷を癒した効能は確かなもの。 全草が小連翹(しょうれんぎよう)という生薬で、切り傷の止血や洗浄、うがい薬に用いられ、鎮痛薬としても処方されます。ひっそりと咲き、夕刻にはしぼんでしまうオトギリソウ。たった一日で終える花、だからこんなにも艶やかに輝いて。