マタタビ(平成28年9月号)

むかし、歩き疲れた旅人が道ばたの木の実を食べたら疲れがとれて、また旅を続けることができたので、その木を「またたび」と名付けたという―。「猫にマタタビ、泣く子にお乳」という諺(ことわざ)で知られるマタタビは、そんな謂れのある植物です。 お茶や梅と似た白い5弁の花。 夏に咲き、かすかに香ることから夏梅とも呼ばれます。秋にドングリ型の実を結びますが、中には表面がでこぼこした、こぶ状のものも。 そんなカボチャ型の実に生長してしまうのは、開花直前に花の子房にマタタビアブラムシが卵を産み付けてしまったから。しかし、漢方薬として珍重されるのは、この狠鄂いマタタビの実瓠L敕決(もくてんりょう)という生薬で、血行促進、利尿、疲労や神経痛を和らげる効果があり、薬用酒や薬湯にも用いられます。虫が巣食わない正常なドングリ型の実に薬効はないという不思議なマタタビ。ネコに実や枝を与えると、寝転んで体をくねらせご機嫌に。ネコにとっては万病薬、そんなマタタビの力を借りれば、私たちも疲れ知らずになれるのかも?