オケラ(平成28年10月号)

生薬名/薬用部 : 白朮/根茎 用途 : 健胃・整腸・利尿 など
口にすれば眉間に深いしわ。千回振り出してもまだ苦いことから「センブリ」と名付けられたこの草は、夏から秋にかけ、紫色の線の入った白い花を咲かせます。 花、葉、秋に白い小花を咲かせ、根に独特の香りがあるオケラ。この香りを新年の訪れを告げる風物詩としているのが、京都の人たちです。京都の八坂神社で大晦日から元日にかけて行われる神事「白朮/をけら祭り」。この日、神社ではオケラの根を燃やして火が焚かれ、参拝者はその火を火縄に移し家へ持ち帰ります。そしてこの火で炊いた雑煮で、新年を祝い、家族の健康を願う…。 オケラの根は生薬名を「白朮/ビャクジュツ」といい、お腹の調子を整える効果があり、古くからさまざまに用いられてきました。新年に無病息災を願う薬酒、お屠蘇。白朮はその主薬のひとつでもあります。 授かった「をけら火」を消さぬよう、火縄をく るくると振り回しながら家路を急ぐ人々。そ の後ろにはオケラの香りが続きます。京都の 人は街を満たすこの香りに、年が明けたこと を実感するのかも。今年もあと3ヶ月。オケ ラの香りがだんだんと近付いてきています。