ベンケイソウ(平成29年8月号)

花びらの先端がほんのりと紅色のベンケイソウ。小さな花が無数に集まって咲く姿は可憐で慎ましやかですが、強そうな名前通りベンケイソウには夏の暑さ、冬の厳しい寒さにも負けない力が備わっています。

古くに中国から伝えられ、初めは「生きる草」という言葉が転じた「伊岐久佐(いきくさ)」と呼ばれていたといいます。後に、平安時代末に登場する武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)の武勇伝が伝わると、その強さになぞらえて、ベンケイソウと名付けられました。肉厚な葉は生薬名を景天(けいてん)といい、腫れ物や創傷に処方され、止血の効果も。葉はちぎった後にも、しばらくしおれず、表向きにして土の上に置いておくと、葉脈の末端から新しい芽が出るほどのたくましさ。

源義経の傍で命を燃やした弁慶のように、力強く生きるベンケイソウ。淡桃色の花は夏の暑さにうなだれることなく、今、花盛りです。