サクラ(平成30年3月号)

日本の国樹であるサクラ。原産地はヒマラヤ近郊とされていますが、かなり昔から固有種としてヤマザクラ、オオシマザクラなどが自生しています。桜の語源については、この薄桃色の花が咲くのは、五穀豊穣の山のサ神(サがみ:古事記が著される以前、日本で最も敬愛されていた神の名。稲に宿る魂とされている)が里の神座(かみくら)に降りてくる前ぶれであるとされたことに由来します。サクラの葉に含まれるクマリンはポリフェノールの一種で、桜餅にも使われるように特有の香りと味が好まれる他、むくみを改善するためにも用いられます。樹皮は桜皮(オウヒ)という生薬で、咳止めや痰を切るためのくすりとされる他、華岡青洲(江戸時代、世界で初めて全身麻酔での手術を成功させた紀州の医師)が創った「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」には、解熱や収れん作用を目的に配合されています。味だけでなく、目も楽しませてくれて、しかも薬効があるサクラ。日本を象徴する木とされる所以は、春を彩る美しさだけではなさそうです。