養生訓(平成14年9月号)

この教訓書の作者、貝原益軒は、寛永7(1630)年に福岡城内に生まれました。19歳の時に黒田藩主・忠之に仕えますが、二年足らずして藩主の怒りに触れ免職となります。その後、七年に及ぶ浪人生活の間、益軒は江戸・京都・大阪・長崎にて多くの学者と交わり、医道をはじめ、朱子学や草本学、自然科学などを学びます。藩主の死後、27歳にて藩に戻ることを許された後も学問を重ね、儒学者として藩に仕えることになりました。そんな益軒が、多くの経験に基づき晩年である84歳(1713年)に著したのが、養生訓です。この書で益軒は「命長くして久しく楽しむにあり」と述べています。これは「健やかに歳を重ねて人生を楽しむ為に元気な時から養生しなさい」という意味です。益軒は当時では驚異的な長寿者で、84歳まで生きています。『病なく生活を楽しむ生き方』を大切とし、彼の人生目標が、そのまま教訓書となったと言えます。著わされてから300年ほど経った養生訓は、欲を制することを苦手とする現代人にとって、悪い生活習慣を見直す書となりそうです。養生するということは、悪い習慣をなくし、当たり前のことを実行し習慣とすることなのかもしれません。

ナスタチューム(平成14年9月号)

薬用部:葉・花・つぼみ 用途:風邪・強壮 原産地:南アメリカ
「ナスタチューム」の和名は金蓮花(キンレンカ)と言い、ナスタチュームの葉が蓮の葉を小さくしたような形をしていることから名付けられました。原産地は南アメリカで、高さ20〜60cmに成長するものから3mにまで成長するものもあります。6〜7月と9〜10月に赤やオレンジ、黄色の花を咲かせ八重咲きなどさまざまな品種があります。緑色の若い種子はピクルス漬けとしたり、おろしてワサビの代わりにする事も出来ます。また、花や葉にはピリッとした辛みがあり、サラダやサンドウィッチに利用できます。葉にはビタミンCやミネラルが多く含まれるため風邪などの症状をやわらげてくれます。花はアブラムシの天敵の虫、ハエやアブを呼び寄せるので、リンゴの木、ブロッコリー、ジャガイモ、キャベツなどに混植すると効果があります。

傷寒論辨正(平成14年8月号)

この書は、寛政2(1790)年、中西深斉(なかにししんさい)により書かれた「傷寒論」の解説書です。「傷寒論」は古代中国の医方書で、古くから多くの解説書などがあり、日本だけでも五百書を越える程です。219年に編撰して以来、1800年経つ今でも、『傷寒論は聖人の作であって、万巻の医書ありと云えども、その右に出る医書なし』と名医たちが誉めたたえています。「傷寒論」は当初、「傷寒雑病論」として書かれたのですが、後に「傷寒論」と「きんい金匱要略」に別れました。腸チフスやその類いの急性熱病を"傷寒"と言い、文字通り、寒に傷(やぶ)られて起きる病気の事です。その外感病(外からの原因で起こる病気)に対する処方書が「傷寒論」で、これに対して「金匱要略」は、内傷病(身体の内部の原因で起こる病気)の処方書となっています。「傷寒論」は、中国の伝統医学を基礎とする漢方の書とも言え、現代人が失いつつある知識の活用のエッセンスが込められています。

ローズゼラニウム(平成14年8月号)

薬用部:葉・花 用途:収れん・抗菌・湿疹 原産地:南アフリカ
匂いのするゼラニウムを総称して「センテッドゼラニウム」と呼びます。この中でも特に親しまれている代表的なものに「ローズゼラニウム」があります。ローズゼラニウムという名前はバラの香りがすることから名付けられています。和名を「ニオイテンジクアオイ」と言い、原産地は南アフリカです。高さ30〜100cmに成長し、4〜9月にピンク色の花を咲かせます。寒さには弱いので、霜が降りる前には鉢上げをして軒下に置くか、室内に入れてあげましょう。 ローズゼラニウムの精油には皮膚の弾力を回復する作用があり、美肌への効果を持ちます。女性には素晴らしい薬効ですね。また、葉を利用したハーブバスでは肌をひきしめ、湿疹などに効果があります。料理で使用する際、葉はお菓子に焼きこみ、花は料理に飾るなどして風味と彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

白澤(平成14年7月号)

白澤とは、中国より伝わる、深山に住むとされる神獣です。四つ足で角が3対生え、顔に3つ、胴体に6つと、合計9つの目を持ちます。9つも目を持つのは世の中を注意深く見守るという意味合いがあると思われています。 
白澤は言語を操る事ができる上、非常に聡明で、世の中を治める君主が有徳(人から慕われ、善行が多い事)である世に現れたといいます。中国の帝王、黄帝が海辺で白澤に出会った際、白澤は11,520種に及ぶ妖怪や鬼について語り、世の中の害を防ぐ為に忠告したと伝えられています。この時の白澤の教えを、黄帝は書物に著しています。これが、『白澤図』と呼ばれる世界最古の妖怪図鑑です。 
この様な言い伝えから日本では、白澤は旅人を守る神獣とされ、旅のお守りとして白澤の図を身につけるようになりました。尚、白澤の図は栃木県日光市にある日光東照宮でも見る事ができます。拝殿に向かって東の杉戸に描かれており、江戸時代の画家、狩野探幽によるものとされています。

ローズマリー(平成14年7月号)

薬用部:葉・花・茎 用途:強壮・利尿・鎮痛
「ローズマリー」という名前は、ラテン語の"ros marinus"(ロスマリヌス)から名付けられました。また、海に向かった崖などによく育つことから「海のしずく」とも呼ばれます。和名を「マンネンロウ」と言い、花言葉は「思い出」です。
原産地は地中海沿岸で高さ20〜200cmに成長します。5〜6月と11〜3月に茎の先のほうに多数小さな唇形の青や白、ピンク色の花を咲かせます。ローズマリー全体には香りがあり、アロマテラピーに用いられます。香りの効果には、集中や精神的な疲労の回復、食欲抑制があります。また、若返り・老化防止のハーブといわれ、お肌や毛髪にその力を発揮し、たるんだお肌を引きしめてくれます。料理で使用する際は肉や魚、じゃがいもなどとの相性が抜群です。